シーバスを含めたルアーフィッシングにおいて、フックの重要性はあらゆるファクターの中でも最上位にあるものです。
私自身そうでしたが、初級者レベルだったころはフックのこだわりなんて全くなく、買ったルアーにデフォルトで付いてるものをそのまま使用して、錆びようが曲がろうが「よかろうもん」くらいの気持ちでした。
しかし、忘れもしないある夏の夕マヅメ。リバーでいつものように投げてると、水面が盛り上がるくらいのBIGバイトが。
見る見る間にロッドはしなり、ドラグは叫び、エラ洗いで現れたその魚体は「おい、これ新聞載るで!!」という超ランカー級。思い出フィルターOFFで思い返しても、楽にメーターを超えていました。
しかし、「頂戴します!!」と自然に敬意を払ったその瞬間、フッと緩むラインのテンション、そして、何事もなかったかのように静まり返る川…。
回収したルアーを見てみると、そこにはベリーのフックは折れ、テールのフックはグニャリと曲がった無残な骸がぶら下がっていました。
その悲しい出来事以来、私はフックにこだわり始め、「Gamakatsu強えぇ!」「Owner鋭えぇ!」と感動し、いかにそれまで無駄にしたショートバイトがあったかに絶望したものです。
長年の経験をもとに断言しますが、フックが良ければ釣果は上がります。これは間違いありません。なにしろルアーと魚との唯一の接点ですから。
好みはアングラーのスタイルそれぞれで違いますが、私はもう何年もトレブルはカルティバ(ST-46等)、シングルはがまかつ(SH56またはSH53)に落ち着いてます。
トレブルフックの個人的な趣向については以前の投稿で少しお話ししましたが、今回はシーバスフィッシングにおいては若干マイナーな「シングルフック」について書こうと思います。
にょろにょろ等一部のルアーではシングルフックがデフォルトで装着されているものもありますが、世に出回ってるルアーの大半はトレブル(トリプル)です。
単純に考えて、トレブルフックは三つ又に針が分かれているだけあってバイトをフッキングに持ち込む率が高いです。しかし、シーバスアングラーの誰もが経験する「バラシ」、これはどうしても起こってしまいます。
このバラシの原因はいくつかあるのですが、その一つにしっかりフッキングしたつもりでも意外に刺さりが浅いことが挙げられます。
これは実際にダンボール等で試してみると分かりやすいかと思います。トレブルフックの針を1本刺し込むのは簡単ですが、2本を同時に奥まで刺し込もうとすると結構な力を要します。力学的に考えると、力が2点に分散してしまってるわけです。これがスズキの固い口周りで起こっているのであれば針先に適切な力を与えるのはより困難で、特にバーブ(カエシ)があると十分にフッキングしたつもりでもそこで止まっていることが多々あります。
シングルフックを実際に使って何度か釣果を重ねると、そのバラシ率の低さに誰もが驚きます。前述の問題が解消され、きっちりと魚に刺さり込んでいることが多いのです。しかも、がまかつのSH56は伝統的な「ススキ鈎」をモチーフにしてるので、一度ゲイプまで入ってしまえば特に外れにくい形状となっています。
しかし、そのメリットとは裏腹に、当然フッキングまで持ち込む確率が落ちることは否めません。「うわ、今のはトレブルだったら掛かってたんじゃないの!?」っていうミスバイトが増えます。
まさに一長一短ってやつですが、私の場合は一部のルアーに関してはフック交換の5回に1度くらいの割合でシングル化します。
以下、ルアー紹介を兼ねて3つだけご紹介します。
ヤマリアのビバーチェ・バンビーナ(70mm / 廃盤)です。3年くらい使い続けてるので塗装がええ感じになってます。がまかつSH56の#1です。
バイブレーションの類では私はもっぱらこのバンビーナかダイワのTDソルトバイブRRばかりです。根掛かり覚悟やリアクション優先であればプライアルの激安バイブもよく使います。
言わずと知れたラパラのCDです。CD-9にはがまかつSH56の#1、CD-7には#3を装着することが多いです。
このセッティングだと普通のトレブルフックよりもウェイトが軽くなります。そのため沈下速度はかなりスロー、ほぼサスペンドになります。そうすることで、CDの真骨頂であるストップ&ゴーにより磨きがかかります。流れがある時は狙いのピンポイントで「えぇ、そんなに!?」ってくらいストップ(ポーズ)を入れて食わせることもあります。
TIEMCOのディスタンス・ヴィクセン(DV11/70mm)という、元々トラウト用に作られたルアーです。ジグミノーなだけにフック用のアイがテールに1つしか無く、対シーバスにはかなりスリリングな一品です。それを思い切ってシングルにしてしまう、ここにロマンがあります。がまかつSH56の#3です。
ちなみに、以前このルアーで間違って70cmオーバーをヒットさせたことがありますが、その際は確かST-46の#8でした。皮一枚でフッキングしてて非常に心臓に悪いファイトでしたが、サーフだから獲れた1本、足場が高かったらバラしてたと思います。
その他、シンキングペンシルは特にシングル化することが多く、ルアーボックス内のシンペンは半々くらいの割合でSH56に替えてます。このタイプは基本的に吸込み系のバイトが起こりやすいので、比較的シングルが向いているように思います。とは言え、やっぱりフッキング率はトレブルほどは良くないです。しかし、刺さってしまえばこっちのもの。
泉裕文さんなんかは「投げる前に初めてフックを付ける」みたいなことをどこかで仰ってましたが、少なくとも、常にフックのシャープさや強度には気を使って、古くなる前には交換する癖をつけておくことが釣果のプラス1本に繋がると思います。
フックへのこだわり、是れ即ち上達への一歩なり。
フックを馬鹿にする者はフックに泣く(シングルフック考察)
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僕。sandijazz。
「アングラー歴=年齢-4」という釣りがデフォな人生を送る三十路ナイスガイ。博多湾の中でも特に室見川~今津湾までという狭いフィールド内でシーバスの生態観測を行っている地域密着型アングラー。基本的に右利きなのに左キャスト/右リトリーブという少数派。オカッパリ派(ウェーディングは年に1、2回程度)。魚の生態に関する知識と感覚の鋭さを釣りの糧とする。理論派であり現場主義、経験と実力・実績こそ全てだと考える類の人。「無難」を嫌う超High-stakes気質。定期的にランカーを見ないと精神衛生を乱すほどの大物志向でありながら、ライトタックルでの小魚の数釣りに超はしゃぎまくるラブリーさも持つ。NPO法人バーブレスフック普及協会会員。ラインシステムの研究やルアー製作まで行うド変態、しかもルアーコレクター。シーバスの他にも、ロックフィッシュ(ハタ系・カサゴ系)、アジ、メバル、クロダイ、ナマズ、ブラックバス、雷魚、ヤマメ等、四季折々の釣りをルアーで嗜む。
自己記録:マルスズキ100.5cm、ヒラスズキ70cm、有明鱸89cm、有明ターポン(ヒラ)52cm、シイラ148cm/18kg、キジハタ48cm、メバル32cm、カサゴ35cm、ナマズ72cm、カムルチー94cm、ヤマメ42cm、ニジマス54cm。
実は一企業(小)の事業主。ブランディングディレクター/デザイナー、フロントエンドエンジニア、コピーライター、グロースハッカー。英語・タガログ語(使う機会がなく忘れ気味)・博多弁のトリリンガル。声楽家(元講師)、演奏家(10種以上の楽器を奏でる変態)。レガシィBH5(MT)乗り。とにかく器用。知的探究心の塊。類稀なる強運さに定評あり。
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3 コメント:
こんばんは。
この発想、ホント面白いですね~♪
こんなフックチューンもあるんですね。
勉強になります。。。^m^
私も、今年は少しフックにも凝ってみよう
と思っています。。。(^O^)
お久しぶりです。
先月から何度か釣りに行っておりましたが、先日、ようやく初物(セイゴ)を手にする事が出来ました。
魚が徐々にシャローに戻ってきているようですね!
トリプルに関しては、ST46が標準みたいになっているので、買ってすぐ使えるルアーが多いですね。
しかし、60台でも簡単に伸ばされる時があり、強度的にどうなんだろうと思います。
がまかつのSP-MHを試しに使っていますが、かなり良いです!
値段がもう少し安ければ…
シングルは、私もSH56を愛用しています。
ワンダー80、slim90との相性が良いですね。
特にslim90は、ローリングのピッチが速くなり、超スローでも動いてくれます。(妄想かもしれませんがw)
CDにSH56は考えもしませんでした。
サスペンド仕様に惹かれますね!
> ごんずい博士さん
いつもコメントありがとうございます。
シングルフックは試してみる価値はありますよ。
最初はみんな半信半疑ですが、実際に何度かファイトするとそのランディング率に病みつきになる人もいるくらいです。
上には書き忘れましたが、シングルの場合、バイトがあれば掛かるかかすりもしないかのどちらかとなることが多いので、ミスバイトで逃しても魚がハリに当たってなくて次のキャストでまたバイトしてくることもあります。
ただ、もうちょっと食いの良い季節で試してみるほうが良いかもです…。
> THさん
ご無沙汰してます。
今年は例年より半月ほど季節の流れが遅いですね。やっと少しずつ魚が寄ってきた感じです。
私も最近は室見川を休ませつつ遠浅シャローなサーフばかり撃ってますが、徐々に捕食のレンジが上がってきてます。
春一番の水温上昇を控えて、またこれからが楽しみですね。
以前も少し触れましたが、私はライン構成を細めにしてることもあってドラグがかなり緩めで、HITからランディングまでのやり取りにも結構時間をかけます。今のスタイルではカルティバでもがまかつでも滅多なことでは伸ばされることはないのですが、やっぱり最善に備えて出来るだけ信頼の置けるフックを選びたいものです。
ワンダーにSH56、間違いないですね。一番好きなチューニングです。
抵抗が少ない分ルアーのアクションも大きめになることが多いですね。
ちなみに、slim90の場合は前トリプル・後シングルもオススメです。これでより水平姿勢に近くなります。
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