私のルアーボックス内を見たことがある方はお分かりだと思いますが、私が使うルアーのほとんどは純正よりも大きいor太いフックに替えてあります(ST-46かST-56)。
これはルアー自体のアクションを極限まで抑えてスレたシーバスへの対策、現状よりスレを進行させないための対策、そしてもちろん大物への対策を図っているのです。
しかし、当然ながらタダ巻き時のアピール力は著しく落ちるので(ほとんど動かないものもあります)、流れの変化、潮目、ブレイク、明暗、ストラクチャーなどをかなり厳密に狙って、必要に応じて意図的にコントロールしなければまともな釣果はありません。出来るだけ魚の鼻先まで持って行くイメージです。
こうなると必要になるのが、キャスティングの正確さ、そして、それを支えるラインシステムです。
私はもう長らくPE0.8号をメインラインとして使い続けています。風の抵抗を受けにくく、水面で起こる表面張力も小さく、そして何より飛距離を出しやすい(ルアーによっては太いほうが飛ぶものもあります)。細いラインを使うことで、これらルアーフィッシングにおける基本であり最大の要素を損なわずに攻めることが出来ます。
太いPEを使っていると飛距離が落ちるだけではなく、風や流れの抵抗を受けやすくなることで肝心な「ルアー自体から伝わる水の抵抗」を感じづらくなります。デイならばまだ視覚が効く分マシかもしれませんが、夜の真っ暗な状況で流れの変化を掴むには手に伝わる感覚に頼るしかありません。
例えば、夜、視界が悪い中で流れを攻めるとします。キャストしてラインスラックを回収、ゆっくりと一定速度でリトリーブ。流れの中、リップで水を噛んだルアーは重く感じます。そしてある地点でフッと抵抗が軽くなります。ヨレです。ここでちょっと巻きスピードを上げる。ドン!! …こんな風に、釣れる時は大体イメージ通りのパターンがはまるものです。
この状況でピンポイントに食わせのタイミングを作るには流れの変化を感じ取ることが必要です。
こういう話をすると、よく「じゃあ、最初から早巻きしてりゃヨレの中に入った時食うんじゃね?」って言われます。確かに、スレが進んでいなくて活性が高い状況では手っ取り早いです。ただ、よく考えてみて下さい。「めちゃくちゃ元気の良い小魚が猛スピードで近づいて来た」と「弱った小魚がフラフラと近づいて来て、自分の姿を見て力を振り絞って逃げた」、シーバスの捕食スイッチをONにするのはどちらでしょう。ご存知の通り、シーバスは大型になればなるほど楽して捕食しようとするので、「コイツなら捕らえられる」とか「ここなら追い込める」とかいった条件がないとベイトを追いません。つまり、シーバスの大好物は弱った小魚と八方塞がりな小魚です。これらをルアーで演出するには、「狙ったポイントに着水させる」、「思い描いた軌道を通す」、そして「今ルアーが泳いでいる地点の状況を感じ取る」、この3点が絶対条件です。タダ巻きもドリフトもリフト&フォールも、どんなテクニックであろうと、少なからずこの知識がなければ「まぐれの1本」に頼るしかありません。
もちろん、この流れの変化は水平面上だけの話ではなくて縦、つまりバーティカルな中でも複雑に存在しています。これが水温・光と並んでレンジ構成に密接にリンクしている最大要素。そしてラインが細い場合、その恩恵を最大限に受けることができます。
PEというのは複数の繊維を縄のように編み込んで作られています。これが強度の鍵となっていますが、太さ(号数)が増すほどにその編み込みの中に含まれる空気量も増します。つまり、浮力が高くなるのです。これがレンジキープの大きな妨げとなります。
リップの形状で若干の種類差はありますが、シンキング系のルアーというものは概ね着水後に沈み始め、沈下のピークポイントを過ぎると今度は巻き寄せれば寄せるほどに上昇軌道を描きます。その浮上スピードは上記のPEの性質からラインが太くなるにつれて早くなります。
しかし、細いラインを使うとその余計な浮力を最小限に抑えることができ、結果、ルアー本来の潜行レンジを忠実に再現することができます。
ちなみに、初めに書いたように私がフックサイズを大きくするのには、この縦の攻略を行いやすくするためというのも理由の一つです。
ルアーを浮かせようとするにはいくらでも方法がありますが、沈めようとするには基本的に浮力を抑えることとウェイトを上げること以外に方法がないのです。
昔、私が初めてPEを手にした頃とは違って、現在お店に並んでるPEは驚くほど強度があります。0.8号で80cmオーバーを釣り上げようが、スズキクラスを立て続けに3本上げようが、PE自体の問題でラインブレイクしたという経験はここ3、4年では1度もありません。
その分、ショックリーダーの結束とファイト時のやり取り(ドラグ調整、ロッド角度など)には非常に気を使っていますが。
ところで、よくこのブログでRapalaのCDシリーズが登場しますが、私の中ではこのルアーが最も縦横の流れを感知しやすいです。しかも釣れる。但し、飛ばないw
と、まぁこんな感じで別に起承転結も無しにシーバス漁の基本を晒してみました。基本ですが、これが核です。
今年も残り僅かですが、寒さにも負けずにまだフィールド出てます。今夜辺りまた縦横の流れを感じに行きたいと思います。そろそろ釣り納めです。
Don't think, feel.(流れとかレンジとか核とか)
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僕。sandijazz。
「アングラー歴=年齢-4」という釣りがデフォな人生を送る三十路ナイスガイ。博多湾の中でも特に室見川~今津湾までという狭いフィールド内でシーバスの生態観測を行っている地域密着型アングラー。基本的に右利きなのに左キャスト/右リトリーブという少数派。オカッパリ派(ウェーディングは年に1、2回程度)。魚の生態に関する知識と感覚の鋭さを釣りの糧とする。理論派であり現場主義、経験と実力・実績こそ全てだと考える類の人。「無難」を嫌う超High-stakes気質。定期的にランカーを見ないと精神衛生を乱すほどの大物志向でありながら、ライトタックルでの小魚の数釣りに超はしゃぎまくるラブリーさも持つ。NPO法人バーブレスフック普及協会会員。ラインシステムの研究やルアー製作まで行うド変態、しかもルアーコレクター。シーバスの他にも、ロックフィッシュ(ハタ系・カサゴ系)、アジ、メバル、クロダイ、ナマズ、ブラックバス、雷魚、ヤマメ等、四季折々の釣りをルアーで嗜む。
自己記録:マルスズキ100.5cm、ヒラスズキ70cm、有明鱸89cm、有明ターポン(ヒラ)52cm、シイラ148cm/18kg、キジハタ48cm、メバル32cm、カサゴ35cm、ナマズ72cm、カムルチー94cm、ヤマメ42cm、ニジマス54cm。
実は一企業(小)の事業主。ブランディングディレクター/デザイナー、フロントエンドエンジニア、コピーライター、グロースハッカー。英語・タガログ語(使う機会がなく忘れ気味)・博多弁のトリリンガル。声楽家(元講師)、演奏家(10種以上の楽器を奏でる変態)。レガシィBH5(MT)乗り。とにかく器用。知的探究心の塊。類稀なる強運さに定評あり。
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4 コメント:
いつも勉強になります。高切れが多くて1.5号とか使ってましたが、やっぱり細いほうがいろいろとメリットがあるんですね。実は細くしてみようとスプールとラインは買ってあるのですが、まだ巻いてません(^^; 来年は0.8号でやってみます。
> flyinganglerさん
こんにちは。
ちょっとブログ本文に書き忘れてしまったんですが、私は普段からPE用のフッ素コートスプレーを使用してます。
リーダーを結束した後、スプールに巻かれたラインが乾いてる状態で満遍なくスプレーして、再度きっちり乾かします。これで高切れの原因になる摩擦が減ってPEの寿命が延びます。滑りが良くなる分、多少の飛距離UPにも繋がります。
フィールドでラインブレイクしたら一気にテンションが落ち込みますからねぇ。
基礎中の基礎でありながら、核心部分だと思います!
分かっていても、いざフィールドに出ると、テキトーな釣りになってしまいがちですが…
sandijazzさんとは逆をいく感じで、1.5号を使用していますw
太いのを使うのは、ライントラブル回避、解き易さ、結束強度の確保といった理由ですね。(要は下手だから)
ただ、セイゴ、フッコがメインになるこの時期は、0.8以下の必要性も感じてきました。
今度、予備リールに巻いて試してみたいと思います!
> THさん
ありがとうございます。
明らかに時合ではない時の私の釣りもかなりテキトーなものですよw PCで言うとスクリーンセイバーな状態で、アタリがあってハッと目を覚ますみたいなw
PEの太さに関しては、太い細いでそれぞれ一長一短はあります。
磯マルやヒラを狙うような状況だとか、「タイトにストラクチャー攻めてたら、横風でラインがカキに乗った」とか、こんな場面ではやっぱり太いラインが絶対的に有利です。
あと、ボートやウェーディングを主としている方々は飛距離の面でのデメリットがある程度カバーされるので、太くて寿命の長いPEを使うほうが効率的かもしれません。
つまりは、アングラー各々の釣行パターンに合ったラインシステムがあるはずです。私のようなタイプのアングラーには0.8~1.0号までのPEでないとデメリットのほうが目立ってしまいます。
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